開花 / Heliamphora minor x heterodoxa and H.nutans x ionasi #2

今日は突然の豪雨に見舞われ、まさしく地響きみたいな雷鳴がとどろいてはそのあと雹が降りはじめるという、何というか世紀末感のある天気でした。幼いころは雹なんて一年に一度遭うか遭わないかぐらいでしたが、今年に入ってすでに2、3回は打たれています。妙な気候は気候は植物を栽培している人にとって悩ましいものですね。

今年に入ってヘリアンフォラが開花しました。これはH.minor x heterodoxaのものです。
ヘリアンフォラの開花は経験したことがなかったので蕾らしきものが上がってきたときにはなかなか高ぶりましたが、いかんせん成長が遅い。はじめに蕾だとわかってから1ヶ月半ほどはゆるゆると花茎を伸ばしていました。

2014年3月17日
この時点ではまだまだふつうの葉かなと思っていました。(写真にも写っていますが、この株はカイガラムシの食害がひどかったです。新芽やネクタースプーンに中に巣食っていたのでその都度ピンセットで取りを繰り返して、大方は駆除できたのですが、いまだ忘れたころに1、2匹見かけるので、痺れをきらして先日オルトラン水和剤を注文しました。)

2014年3月27日
ずいぶん伸びました。光に透けて中の蕾のかたちがくっきりと浮き上がっています。

2014年4月7日

2014年4月29日
前の写真からが長く、3週間ほどたってようやくひとつ目の花が開きました。
花弁のように見えるものが実は萼だという説もありたしかに花が終わっても落ちず、いまは緑一色となって光合成もしているようです。花弁は一般的に一度開いてしまったらあとは枯れるだけで色が変わることはないですし、ヘリアンフォラは萼を花弁に色を変えることによってポリネーターである蜂に花粉の出る時期を伝えているんでしょうか。『Sarraceniaceae of South America』にはふつうに花弁だと書いてありますがねw
蜂の羽音によって花粉が葯から排出される仕組みらしく、人間がこれをポリネイトするには音叉の振動が必要になります(ブルーベリー農家も音叉を使っているのを見たことがあります)。僕はA-440Hzのものでやりましたが、たしかの花粉の放出が確認できました。うっすら煙が棚引くというか、無風状態でやったのでするする下に流れる、といった感じです。相当回数を繰り返してようやくビニールコップの底に目視できるくらいに溜まりました。さらに、雌雄異熟で雌しべが先に成熟するため、得た花粉は次の花の雌しべに付けなければならないそうです(なんて制約の多い花なんだ!w)。どうせ交配種では自家受粉しないだろうと思い、適当に次の花の柱頭に花粉を付けてそのまま残りの花粉を廃棄してしまったのですが、後日その子房がみるみる膨らんで2cmほどにまで達しているので、いま思えば次の花にもしっかり花粉を付けておけばなあ、とw 種が発芽するかはまだわからないのですが。

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こちらは6月14日撮影、H.nutans x ionasiの花です。ヘリアンフォラの開花には季節性はないのですかね。上のものよりやや赤みが強い感じがします。

さらにH.ionasiの血をひいているためか、花茎まで毛深いのがわかりますかね。産毛で照明を反射しています。
花ひとつの大きさはH.minor x heterodoxaよりも小さめですが、あちらが3つの花をつけたのに対し、こちらは4つの蕾があります。しかし、ながーく伸びた花茎はふとした拍子に温室の外へ飛び出してしまい、僕がそれに気づかず勢いよく戸を閉めた際、残っていた3つの蕾は挟まれ落ちてしまったのです……。これは痛恨の極みでした。また来年咲きますように、今年の秋には大きめの鉢に植え替えてやろうと思います。

コメント

  1. おおー、素晴らしい。100点満点です。w
    子房が膨らんできたとは受粉したと見ていいんではないでしょうか。そのまま放っておくと自然に亀裂が入るのですが、収穫時期としてはそれでいいのか、あるいはもっと早く収穫すればいいのか、分からないのですが、AKIGOさんの種子できることを祈念したします。
    私はタテイ、ミノール、コリナ、ヌタンス、と全て失敗しています。w (面倒くさい。。。w)

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    1. 100点ですか、ありがとうございますw
      なるほど、そのあたりはサラセニアなどと同じような要領でいいのですかね。不稔種子でないことを願います。
      いやしかし、制約が多くて面倒くさいですねホントw 僕にとってヘリアンフォラの初めての開花でしたので、どのようなものか興味があって毎朝出かける前に音叉でつついてみたりを続けられたのですが、花粉の出る時期は意外に短く、しかも新しい花にも気を配らないとすぐ柱頭が雄しべのなかに潜ってしまうという……。実生できたらいいなぁとぼんやり考えていたのですが根気と運が必要なようで、毎年花が咲く大きさになったら毎回「今回はいっか」となってしまう予感がありますw

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  2. ヘリアンの花は品種による物なのか株の充実度による物か判りませんが、付く花の数が違いますね。花粉は雄蕊と雌蕊が同じ高さ位になって雄蕊がやや茶色味がかったかな?という位の頃に音叉を当てるとボソッと花粉が落ちる感じだった気がします。

    似たような品種同士を掛けても特徴に薄く面白みがない株になって、将来的に混乱の元になるので、掛け合わすなら特徴のはっきりした品種同士でどういう株を作りたいか見極めてから交配するように最近心掛けるようにしています。(闇雲に交配しても置き場に困るので…)

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    1. 雄しべ雌しべの高さと色に着目するのですか!なるほど、ありがとうございます。まだかまだかと空振りに終わる日々が減りそうです。
      花粉は出るときには意外に量がありますね。個人的にですが、花粉の放出を見るとよくあるウニの放精放卵実験を想起します。

      すでに交配に着手しておられますか!経過などぜひ拝見拝聴したいものです。
      たしかにヘリアンフォラの交配種は特徴に薄くなりがちで、無数にあったら判別困難になってしまいそうですね……。ただ、かのH.‘Tequila’がheterodoxa x minorとnutans Giantの四元交配だと聞いて、オーソドックスな外見の親でも風変わりなものを生むポテンシャルがあるんじゃないかと夢みてしまいますw

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    2. まだ実生を始めて間もないので、選別までにはまだまだ程遠いです。いずれお目見え出来ると良いのですが…;

      親とは似ても似つかない個体が出る可能性があるので、交配は夢がありますね。とにかく大型の品種を目指してるのでnutans giantやionasiiを親に交配したいのですが、なかなか揃って咲いてくれないですね。冷蔵庫のチルド室で花粉を保存できるか今後試してみるつもりです。

      最近AWから出たMysterious Giantも入れてみましたが、これも大型種のようなので将来的に親に使えればと思っています。ただ届いたサイズは5㎝未満の幼苗でしたが…;

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    3. 現地写真を見ると同じ原種でもバリエーション豊かで、実生選別しがいのある植物だと思いますね。我が家はまだまだ小苗ばかりで実生選別なんて夢物語ですが、国内で試みている方がおられるというのでも励みになります。

      nutans Giantとionasiの交配なんて考えただけでもわくわくしますね!横に広がるタイプの大型種は理想です。個人的にはminor var.pilosaみたいに外側まで毛深い形質が引き継がれたものなど面白そうだなぁと。
      花粉の保存ができたら希望が増しますね。ネペンテスの花粉に関してですがパーシャル冷凍が良いという話を耳にしたことがありますが(解凍で細胞が壊れるから、らしいですが、だったら仰る通りのチルドのほうがよさそうですねw)、海外ナーセリーが人気交配種をなかなか再販しないのはやはり花粉の冷凍保存が難しいせいかなと疑ってしまいます(単にプレミア化を狙ってるだけかもしれないですがw)。

      AWのものはやはり小さいですか……、divisionと記載されていたので株分け品で大きいのではと思っていましたが。成株となると本当に大きくてこれはいいなぁと思いつつ僕は写真を眺めているばかりでしたw minor var.pilosaが欲しいのでせっせと貯金中ですw

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