Nepenthes hamata #1

N.hamata ネペンテス・ハマタです。インドネシア領スラウェシ島Lumut山、Katopasa山などの標高1400~2500m地帯に自生する高山性ネペンテスで、種小名hamataはラテン語「hamatus = かぎ状の(に曲がった)」に由来します。種として記載される1984年当時はN.dentataという呼び名も使われていたらしく、個人的に「dentata = 歯の生えた」と言うほうが、補虫嚢の特徴をより的確に言い表しているようにも思いますが。
まだ開いたばかりで赤みの強い袋。この個体はスリランカのナーセリーBorneo Exoticsのものです。まだら模様の袋筒に、いたるところに長くのびる毛、そして隙間なく並ぶつややかな牙、と高山性ネペンテスのなかでも極めて印象的な一種でしょう。最近はどこの海外業者でも通常リストに並び、国内でもヤフオク等に流れていることも少なくなく、手の届きやすくなった種かもしれません。とはいえ、個人的にまだまだ難物といった印象が強く、未だにおっかなびっくりで育てているみたいなところはありますw が、意外にも植え替えや季節の変化で愚図ることもなく、いまのところは思いのほか順調に育ってくれています。
やっぱりこの牙はいいですねぇ!w 袋自体はふわふわと柔らかい質感なのですが、この部分だけプラスチックのように硬く、指をあてがえば刺さりそうです。ただ枯れたときにも形を保っていそうなものなのですが、意外にも黒く縮れて開口部はぐしゃっと丸まってしまいます。(この写真で気づいたのですが、蓋の裏側にやや突起があるんですね。)

これはひとつ前の袋です。個人的にはこの菱形に大きく開いた開口部も気に入っておりまして、まったく同じ理由でN.tentaculataも好きだったりします。
このように牙は真っ黒になり、袋筒もやや紫がかった色に染まります。N.hamataの性質なのかどうかわからないのですが、本種は蓋が開いたときの長さからさらに1.3倍(目測ですが……)ぐらいにはなるような気がします。いまはまだ袋は高さ10cm強ですが、葉よりも大きな袋を付ける種でして、国内の栽培家のもので20cm以上になっている捕中嚢の画像を見たことがあります。20cmハマタの牙、触れてみたいものですねw 上位袋になりますと、一転、この濃い模様がまっさらに消えて緑一色になるようです。

2014年6月29日時点の草体です(端のほう照明で色が飛んでしまってます……)。
リーフスパンは15cm弱ほど。ちょうど1ヶ月に1枚のペースで葉を展開しています。そこまで極端な温度にあてないように栽培しているので耐暑性があるのかどうかはわかりかねるのですが、一般的には枯れない程度にはある、ぐらいだそうです。水(というか湿度)を好むようで生水苔が乾ききる前に十分に与えるぐらいが我が家では一番具合がいいです。
育てる前に抱いていたイメージより多少なりとも素直な印象ですが、葉が薄く、病気や害虫に弱そうではありますね……。上段に置いてあるN.sibuyanensis x hamataがカイガラムシ(葉裏に潜りこんで黒点のように見えるタイプ)に襲われ葉がずいぶん小さくなってしまったので、こちらに乗り移らないように目を光らせていなければ、と思っています。

N.hamata clone1 from Wistuba

N.hamata clone2 from Wistuba
手を出してしまいましたWistubaのクローンですw clone2のほうがちょっとだけ大きい。2cloneセットで来たもので、入手後およそ1ヶ月ですが、すでに葉一枚を展開し、順化は何とかうまくいっているようですかね? が、やはり小さいです……。現地画像を見るとN.hamataは比較的個体差の見られる種のようなので、特徴が出て比較できたらと思います。この小苗たちにはどうにか今年の夏を乗り切ってもらわねば……!

コメント

  1. この前の、H.nutans x ionasiとH.minor x heterodoxaの開花記事の背景にNハマタが写りこんでいましたので、いつかご紹介してくれるだろうと、と思ってましたがこんなに早くとは。w
    やはり夏越しがネックでしょうね。室内の冷房なしでは、まず枯れると思います。今思えば、夜風に当たるような工夫をすればなんとかなったのかも知れません。
    テンタクラータも好きで集めたいと思っておりますが、これはどんな個体かは来てみないと分からないので、(表記がない)同じのが来てもなぁ、と二の足を踏んでます。w
    AWのC1~4も集めてみたい。

    返信削除
    返信
    1. 背景も見ておられましたかw どの種を記事にするか殆ど気まぐれと多少のきっかけで決めているのですが、今回は仰っておられるように前回の記事に写っていたので次はこれでいこう、と。N.glabrataとスラウェシ繋がりでもあります。
      夏越しは栽培家ごとにいろいろ工夫しがいのあるところなのかもしれないですが、僕は臆病ものなので迷わずクーラーに頼ってしまいますねw ケースがルームエアコンの真下で、かつ熱帯魚クーラーを回して、昨年の夏場夜間は室温から-7℃の18℃くらいでしたので、今年も同じようにして乗り越えようと考えていますが、はたして……。8月は夜も30℃近くになるので、現状、野外栽培は全くあきらめていますw
      N.tentaculataのバリエーションは個体差なのか産地違いのためなのか、どうなんでしょうかね。個人的にAWのRajah山のものが黒くていいなぁと思うのですが、リストの写真のような個体になるのかわからないのでためらいますw N.hamataはAWで2cloneセットだと75ユーロで、別々に買うより25ユーロも浮くのですが、この場合どの2cloneかはランダムだそうで、残り2種類はフルプライス払うしかないんですよね。c3、c4に100ユーロ……と考えると、G.katopasaの再リリースを待とうかなという考えがちらつきますw

      削除
  2. テスト。

    丁寧にコメントしたんですが、2回コメントしても反映されませんでした。
    今回は反映されるかテスト。

    返信削除
    返信
    1. なぜでしょうか……コメントの設定は何もいじっていないのですが……。
      このコメントに返信するという形でしたら反映されるでしょうか?
      お手数をおかけしまして申し訳ありませんm(_ _)m

      削除
  3. 先日のテストは上手く行きましたが、今度は上手く書き込めるでしょうか・・・
    コメントして【公開】ボタンを押してもウンともスンとも行きませんでした。 ドキドキします。 

    しかし何時も美しい素敵な写真。 凄く細かく濃い情報量。 素晴らしいブログですね! 
    私がブログを始めた時の食虫ブログって云うのは、1枚の袋の写真を貼り付けて『良い感じのピッチャーが付きました』と云うのしか無く、由来や品種を明確に記載したり、栽培法に関する事なんて書いてる人は誰も居ませんでしたよ。
    現在は、成長過程を時系列で載せたり細かい情報を沢山書く方が主流になり、私も引っ込むしかありませんYO~
    これからのご活躍を愉しみにさせて戴きます!

    返信削除
    返信
    1. 画像をたくさん載せられるから、とこのbloggerでブログを書きはじめたのですが、そのせいでやや重くなってしまったのかもしれないですね……。

      見返したときに中身のあるものにしたいと思いつつ自分のために書いているだけですが、それが楽しんでいただけるようなものになっているなら嬉しいです。また由来や品種を明確に記載したり栽培法に関することを書くのが主流になった、ということに関しては、中村さんのブログの貢献が非常に大きいと思います。僕もネペン栽培を始めた当初から今に至るまで(そこまで長いわけではないですが)何度も読み返し参考にさせていただいておりまして、自分もブログを書くなら、たとえ読者が自分ひとりだとしても、中村さんのブログのように読み応えのあるもの、後々に残して意味のある記録になるものにしたい、という思いがありました。
      >私も引っ込むしかありませんYO~
      ブログに残されている、これまで公開していただいた膨大な情報で、すでにネペン界への大きな貢献を果たしておられると思います。ただ個人的には、時間が空き、気が向いたときだけでよろしいので、時たま栽培品種の記事を時には書いていただけるとうれしいです!笑 (中村さんほどの栽培品はなかなかお目にかかれませんので……)
      いまは小さな苗ばかりですが、いつか現地のような株に育て袋に触れてみたい、と思いつつ、こつこつ世話をする毎日です。一体いつになるのか定かではないですが、小さな苗から大きく育てたという記録をこのブログに残せたら、と思います。

      削除

コメントを投稿