Nepenthes lowii #1

N.lowii ネペンテス・ローウィ (ローウィアイ)です。本種は1859年に記載されたボルネオ島の固有種で、種小名は本種を発見したイギリスの植物学者Hugh Low氏にちなんで名づけられました。高山性ネペンテスの代表的な人気種で、高山性種栽培家のほとんどが、尿瓶とも称されるその独特な上位袋を目指して栽培しているものと思います。僕もその魅力にとりつかれたひとりですが、いかんせん成長が遅く、なかなか道はながく険しいな、と感じています。



日照をたいへん好む種らしく、良好な生育には十分な日照が不可欠なのだそう。といってもどれだけ必要かは判然としませんが、こちらでは、太陽光と白色LEDライト合わせて、20000ルクスほどの光が4、5時間当たっていますが、葉は細くなったりもせず、特に足りないという印象もありません。また、根部への通気も重要だとよく見かけますが、プラスチック鉢に水苔植えでも立派にされている方々も多いので、もしかしたら副次的な要素なのかもしれないですね。あるに越したことはないと思います。高温に対する耐性も高山性種のなかではあるようで、真夏も通気さえよくすれば枯れないらしいですが、結局夜間の冷え込み、20℃ぐらいまで冷やしてやらないと大きくならないようですので、うちでもできる限り夜間の温度は下げようと試みています。枯れないことと大きくするということの間に隔たりのある種という印象です……。

N.lowii Mt.Trusmadi
(2014年6月1日時点の草姿)
トラスマディ山産のN.lowiiです。直径15cmほど。オーストラリアのExotica Plantsより販売されているクローンで、この産地のローウィは口が広く、くびれより下が小さめになる傾向があるのだそうです。栽培して半年くらいですが、輸入した当初、根は全くなく葉も黄ばんでいたため、その傷みを引きずっているのか、出てくる葉はもともとついていた葉よりだいぶ小さくなってしまいました。
ただ、購入当初からわりと大きい株で、丈も10cmほどありました。「Nepenthes around the world」というサイトによると、直径が8インチ、すなわちおよそ20cmを超えてくると成長が早くなる、と書いてありまして、この株がちょうど導入当初それくらいでした。いまはひとまわりほど小さくなってしまいましたが、成長速度はいくつかあるN.lowiiのうちで一番早く、1枚/1ヶ月半のペースで葉を展開しています。

N.lowii Mt.Mulu
(2014年6月1日時点の草姿)
ムル山産のN.lowii。直径約17cm。Y's Exoticaさんより購入したもので、Thomas Alt Clone と呼ばれることもあるそうですね。このクローンの上位袋はとても赤くなるらしく、どうにか実物をみてみたいと思っています。ムル山のものはくびれより下が大きくなることが多いそうで、個人的にくびれのはっきりしたN.lowiiが好きなので一番期待している個体です。一番上のピッチャーの写真がこの個体の最新の袋です。室内栽培なので、この夏至にかけての季節が一番部屋に陽が入らなくなる季節でして、あの袋の下部はやや緑がかっています。ひとつ前の袋は以下のように真っ赤でした。
成長速度はうちのN.lowiiのなかで最も遅く、いまのところ1枚/3ヶ月のペースです。葉はじわじわ大きくなってくれているのですが、やはり陽の入りが悪くなるこの頃はぐんと成長速度が落ちた感じがあります。補助光もあるんだがなぁ……。

N.lowii Mt.Kinabalu
キナバル山産のクローンです。直径は15cm強ほど。この産地のものは前出の二種のちょうど中間形というような上位袋をつけるそうです。そしてなにより大型になる傾向があるとか。たまにキナバル山のものが栽培にいちばん癖がある、という内容を見かけますが、特にほかと変わりないような気がします。直径は3番目ですが、上のムルのものより成長は早く、1枚/1ヶ月半ほどのペースで葉を展開します。
袋はずいぶんと緑色です。上のふたつとほとんど同じ環境で栽培しているのにまったく違う色の袋を付けます。単にステージの違いかも知れませんが、むしろ小さいものの方が赤みの強い袋を付けそうだという先入観がありますので、やや不思議に思っていました。

N.lowii Mt.Murud

あまり見かけないムルード山産のN.lowiiです。この春導入しまして、まだまだ3cmくらい。あの悪名高きw、ドイツのWistubaでしか販売されていないということが、何よりものネックかもしれない。とはいえ、1cmの極小苗が来るのだと思っていたところ、2~3cmのものが来たので、意外と立派だと思ってしまいました。……しかし、ほかの業者と比較して圧倒的に小さいので、N.lowiiの成長の遅さを思うと、やはり気が遠くなります。

五月末から昼間の気温は30℃を超え、夜間は20℃を下回らない日が増えてきました。僕の住んでいる場所は東京でも特に都心に近いあたりで、まさしくヒートアイランド現象のただ中……! 高山性の植物を栽培するまでは夏がいちばん好きな季節でしたが、いまやカレンダーの日付を数え、どれくらい耐え忍べば夏を乗り切れるかを考えています……(苦笑)

コメント

  1. お~、すげぇー。Murudまであるぅー。w やはりEPのローウィはいいっすよね。私も最初驚愕、驚喜いたしました。
    現地ビデオとかみますと、ローウィのアッパーは、見上げるような場所に多かったと思います。普通のネペンテスでも30-50cm伸びないとアッパーになりませんからこれもそれくらい伸びないと、と思ってるんですが。色に関しましては個体差なのか、地域差なのか染まらない物もありますね。
    surfaceさんより、トラスマのローウィ種子を仕入れました。楽しみでごんず。

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    1. kinabalu産まで入手できた時点で、ここまできたらMurudまでコンプリートせねば、と思いましてw
      たしかにどこのものを見ても50cm近くの高さでようやくアッパーという感じですね。そこまでちゃんと大きくなってくれるかも不安ですが、大きくなったらなったでものすごく場所をとりそうだという不安もあります……。
      あの現地由来の種子ですね!交雑も期待されますが、ボルネオ高山種は個体差自体が大きいのでどんなものが出てくるか楽しみですね。僕はとてもとても実生なんて管理できる自信がないので、人様のものをありがたく拝見させていただこうかとw 経過記事たのしみに待っております! 

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