ヘリアンフォラの開花 '15

最近、N.ramispinaの記事へのアクセスが妙に多いんですが、なぜでしょう。そんなに人気種でもないと思いますし、URLがどこかの掲示板に貼り付けられているならトラフィックからわかるのですがそれもなく、すごく不思議です。ちなみにこのブログで最も閲覧数が多いのはサイドメニューの栽培環境のページです。やっぱり人の栽培環境は気になるものなんですね。適当なことを書くのもアレなんで実はたまーに加筆修正したりしてますw

今年は真夏に開花しました。温度の違う別々のケースに入っているいくつかの種が殆ど同じ時期に花茎をあげたので、それぞれが季節の変化を感じているのでしょうか。

H.nutans x ionasi
やはり赤みのある花。今回は多くの花がついたこともあって、花茎は非常に長く伸びました。1m弱はありそうな気がします。室内ケースだと高さがないので伸びた花茎が内周を回って真ん中へ枝垂れています。

開花したばかりの花をマクロで撮影しました。雌雄異熟といわれる通り、始め雄蕊は奥の方にまとまっており、雌蕊のみが突き出ています。だんだんと雄蕊が伸び、色も濃い黄色になるころにはすっかり雌蕊は隠れてしまい、受粉能力も失っているらしいですね(同じようなことを前の開花記事でも書いた気が)。

少し前ですが、草姿はこのくらい。前回の開花時は3つの花がついた花茎が2本だったのですが、今回は7つの花がついた花茎が2本、生長点の数はなかなか増えませんが一応作下がりということはなさそう。大きな鉢の方がはるかに良さそうなのを見ると、小鉢に植えたヘリアンたちに申し訳なさが湧き上がります。

H.nutans x glabra
H.nutans x glabraの花は一転、全く同じ場所にありながら赤みがさすことはなく、日によく当たっても純白を保っています。

やや暗い画像で申し訳ないのですが、比較すると意外と違った印象なのが分かります。H.nutans x glabraは花茎が緑色なんですね。
今回はこの二種、H.nutans x ionasiとH.nutans x glabraの花を間に合った分だけ、2,3個交配してみました。H.nutans x ionasiの方が殆どH.nutans感がないので、ionasiとglabraの特徴が出たビッグでしなやかな感じのものが出たらいいなぁ、と結実したかどうかもわからないですが皮算用しています。Heliamphoraは普通にしていても花粉を出さないのが困りもので(雨の多いギアナ高地に適応したのでしょう)、音叉を鳴らすため傍の棚にがんがんぶつけていたら棚の塗装が剥げ、木がむき出しになってしまったので結実の一つや二つしといてもらわねば割にあいませんw

H.heterodoxa hybrid (heterodoxa x nutans?)
2,3年前にチェコのBestCarnivorousPlantsから入手したH.heterodoxa hybridsなるヘリアンフォラも開花にいたりました。H.heterodoxaと何かの交配、ということですが、なんとなくx nutansじゃないかな、と思っているものです。去年、今年とBCPのリストに挙がっていないので、もしかしたら今後珍しいものになるんじゃないかな、とふと考えましたが、国内のヘリアンフォラマニアってそんなに多くない(?)と思われるので価値が高まることはないか……w

草姿はこんな感じ。あまり大きくならずとも開花に至るコンパクトな交配種のようです。忙しい時期に開花してしまったので日ごと様子をうかがって花粉を取る時間がなく、受粉作業はしないまま切ってしまいました。

余談ですが、H.heterodoxa hybridsとして入手した塊からふたつだけ明らかに様子が違う株がありまして、今年に入って成葉を出したのですが、これはheterodoxa x nutansやx minorではなく、x ionasiの雰囲気があります。うちのヘリアンのなかでも分厚いほうで非常にがっちりとした印象、ネクタースプーンのつき方も面白くてこれからが楽しみです。


H.pulchella Churi Tepui
まだまだ中苗といったサイズですが、花芽が。他のものより一ヶ月以上遅れているので交配はできなさそうですが、どんな花か楽しみです(いやまぁヘリアンフォラの花は大体同じなのですが)。
H.pulchellaは株が成熟してくるとネクタースプーンが葉の中へ沈み込み、毛もさらに荒く剛毛になってくるようなので、開花後に次のステージへあがってくれたら、と思います。

コメント

  1. 初めまして!
    私、今年食虫植物栽培を始めました、kazと申します。
    「ヘリアンフォラの花はとても綺麗」と知って、色々調べておりました。
    今回、とても綺麗な花の写真を見させて頂きました。
    なかなかこれだけ詳しい写真はありませんでした。ありがとうございます!
    不思議とサラセニアとは全く雰囲気が異なる、百合にも似た美しい花が咲くんですね。
    そのうちにヘリアンフォラも将来的には栽培してみたい、とうっすら思っております。
    素敵な記事、ありがとうございました。

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  2. すっかり涼しくなりまして、夏仕様の栽培は今日でおしまいにしようかと思います。
    ヘリアンフォラの開花は、以前はよく冬に咲いてましたのでそう言う物かと思ってましたが当方でも最近春、夏と咲くようになりました。季節はあまり関係ないようです。この春、nutansとnutans(giant)の花が咲きまして、比べてみたところ雌しべの大きさが異なるようでした。受粉はしていません。w 今colinaの花茎ができています。受粉の試みはしてみようかと。
    うちのH.heterodoxa hybridはまだまだ幼葉で開花にはしばらくかかるようです。

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    1. コメントの返信がたいへん遅れてしまいまして申し訳ありませんm(_ _)m
      今年はある日突然涼しくなりましたね。電気代は去年よりだいぶ安くつきそうで安心です。

      季節に関係なく咲くとなると、ただでさえ面倒な交配が一層大変になりますね……。
      やはりnutans Giantの方が雌しべが大きいのでしょうか。ただ、記事のpulchellaの花が今日開いたのですが、雄しべ雌しべが意外にもがっちりと大きく、そのあたりは草体のサイズによらないものなのかな、とも思いました。
      collinaの受粉、楽しみです!珍しい種の実生は僕にとって未知の領域です。うちは今年頭にやっとAWから入手しまして、まだまだ5、6cmぐらいです。

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  3. 数年前BCPの実生らしきheterodoxaが販売されていて、育てて見るとその中にNCの付け根が長くheterodoxaのように太くならずコンパクトになる個体が混ざっていた時があります。その後H.heterodoxa hybridsが販売され、その中に似たような個体がやはり入っていました。
    思うのですが、現地種子採取時に原種だと思って採取して育った後に交雑していたのに気づき名前を変える?パターンがBCPにはよくあるような気がしてなりません。sarracenioidesとして入手した株も、育ててみるとネクターキャップが被り、後にpurpurascensとの交雑種がリストに載りましたし…。
    H.heterodoxa hybridはBCPが交配した物なのかは分かりませんが、何の花粉を使ったのか分からないとか他の種子が混ざるなんてことは無いとは思いますし、栽培株からの採取なら虫が勝手に交雑させたということなのでしょうか…?
    明らかに産地が違う物ならまあ分かりますが、ヘリアンの種子や実生苗はセルフにしろ交配にしろ販売時に人工交配(hand pollinated)なのか自然交雑(open pollinated)かの説明が欲しいと常々思っています。

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    1. コメントの返信がたいへん遅れてしまいまして申し訳ありませんm(_ _)m

      そうだったのですか!僕が始めた時にはすでにheterodoxa hybridsが販売されていたので、考えようもありませんでした。ありがとうございます。たしかに、のちのち交雑に気づいてラベルを変える、というのはヘリアンフォラに限らず多いですね(最近ではN.argentiiなどもそうでしょうか)。
      Kamil Pasek氏のFBを見ると頻繁に現地に行っているようなので、わざわざ栽培株から種子をとる理由もないような気がします。BCPが自前で交配種を作っている印象も薄いので(H.cv’BCP Flamingo’も実生ではなく、AWのH.heterodoxaのフラスコ苗から出たものだそうですし)、実生なら現地からのものかなと個人的に思いますが、しかしH.heterodoxaは現地で交雑するのでしょうか……。BCPのように頻繁に現地から種子を入手してリリースする、という業者は少ないのでありがたいことですが、やはり説明不足の感はありますね。pulchellaはあれだけ細かくクローンを分けているので適当に管理しているわけではないとは思うのですが……。勝手に結実した栽培株の種からにしてはバリエーションがありますし、個人的には「自然交雑(open pollinated)」の方かな、と勝手に思っています。

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