Nepenthes diatas #1

公開は本日9月17日ですが、記事自体は8月1日に書かれたものなので、そのつもりで読んでくださいw

Nepenthes diatas ネペンテス・ダイアタス (ディアタス?)
スマトラ島Bandahara山等に自生する高山性ネペンテスです。種小名diatasはラテン語、ではなくインドネシア語でabove, on topを意味し、スマトラ島の山々頂上付近、標高2400-2900mにのみ自生することに由来するそうです。記載は1997年なので、比較的新しいほうでしょうか。
前回記事にしたN.rigidifoliaよりもさらにマイナーな種類かもしれません。栽培記録もほとんど見る事がないような気がします。個人的には襟もぎざぎざと凹凸があって格好良く、ピッチャー自体は細毛に包まれて野趣があり、魅力的な品種だと思うのです。ネペンテスの栽培を始めた当初から気になっていた品種でした。
この背後から見るのが特にわけもなく好きです。また蓋は丸く正円に近いのですが、開いてから口が広がり写真のように縦長になってゆきます。
古くなると下のように赤く染まってゆくようです。アダルトサイズのピッチャーでも真っ赤なものと襟の黄色が残るものとがありますが、個体差によるものか環境か、どっちなんでしょうか。Wistubaにシングルクローンがあり、さらにBorneo Exoticsが十数クローンを所持しているようなのでいくつか入手してみたいところです。
現地では厚く硬そうな小さい葉を3,4枚のみ付け、そこから地面まで長く蔓を伸ばしてリーフスパン以上のピッチャーを付けているようで、非常に過酷な環境に自生していることが窺えます。葉は強い光を浴びているせいか強い風が吹きすさぶせいか、葉柄まで黄ばんでおり、栽培下の草姿とは似ても似つきません。

2015/8/1現在
もう2年近くの付き合いになるはずなのですが、なかなか大きくなりません。「Nepenthes around the house」というサイトでも「a bit tricky a time」と記されており、僕はいまだそのトリッキーな部分に対応しきれていないような気がします。このサイトは殆どネペンをeasyと片付けているので、そこでわざわざtrickyと書かれている種を上手く育てられる自信はありません……。葉は1枚およそ2カ月くらい。スマトラ島のネペンテスのなかで最も高い標高に自生しているため冬の方が調子がいいのかと思いきや、冬はなかなかピッチャーをつけてくれず、梅雨ぐらいから立て続けにそれまで付けていなかった葉まで着袋しました。やや昼の気温が高めの方がよいのでしょうか。

これはBorneo Exotics由来のclone株なのですが、最近やや葉に斑が出るようになりました。フラスコ苗のN.rajahから斑入りが出たというのをどこかのフォーラムでEPが書いていた記憶がありますが、とするとこういったことは往々にあるのでしょうか。固定するのかは謎です。
N.densifloraやN.singalana、N.spathulataと近縁だそうで、特にロアーはN.densifloraに良く似ていますね。なんとなくN.diatasのほうが色がやや薄く、ずんぐりしたイメージです。しかし一転アッパーは全く異なり、N.densifloraが緑色で大口の尻すぼみ型になるのに対し、本種は色は抜けず、ピッチャー下部がくびれて膨らむようです(JIPSさんのサイトにあった現地画像はN.edwardsianaに良く似た形でした)。栽培品でのアッパーは海外を含めてほとんどなく(ネットあがっておらず)、自分で育て上げて見る他ありません。2年でこの程度ですからアッパーまでどのくらいかかるのだろう……。そもそも今年は例年より暑いような気がするので、まずは目の前の八月を越えさせてやらねば。

コメント

  1. 無菌培養で増殖されている苗は殆んど同じくクローン(山田さんの所のラジャが最たるものです)
    ですが、増殖させた際に完璧に遺伝子がコピーされることは無く何度もホルモンにより分裂を促進されると違った性質を現すものも出るそうです。

    このような突然変異をソマクローナルバリエーションと呼ぶそうです。
    変異の中では斑入りは割かし出やすいそうですが固定されるかどうかは難しいかもしれません。

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    1. 無菌培養でも突然変異が発生するんですね。丁寧なご説明ありがとうございます!
      この後展開した葉にも斑がありましたが、性質が弱くなることを思えば固定されない方がいいのかもしれません。

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